甲状腺とうつ

甲状腺機能低下症は血中の甲状腺機能低下により全体の代謝が低下した状態で、食欲低下、意欲・集中力の知恵か、無気力、無関心などの精神活動の知恵かといったうつ病によく似た症状を来たします。そのためうつ病と誤診されることもあります。近年の研究によると、甲状腺機能低下症では56%、甲状腺機能亢進症では31%にうつ病の合併がみられました。一方、うつ病には視床下部ー下垂体ー甲状腺軸(hypothalamic pituitary thyroid軸:HPT軸)が関係した甲状腺検査異常が高頻度に合併し、うつの病勢と相関することもしられています。

ある調査では108人のうつ病患者に対して甲状腺疾患の有病率を調査したところ7.4%に甲状腺機能低下症を認めました。診断は身体症状に加え、コレステロール上昇、血中T4低下、TSH(甲状腺刺激ホルモン)上昇などから総合的に判断されます。うつ病が疑われる患者さんが受診された際には甲状腺機能検査を行うことは一般的であり、もし甲状腺機能異常が疑われる場合は専門医を紹介しております。薬物療法としては甲状腺ホルモン剤(T4製剤)の補充が基本です。

甲状腺機能亢進症は血中に甲状腺ホルモンが増加することにより代謝亢進をきたした状態であり、バセドウ病によるものが70~80%です。バセドウ病は甲状腺機能低下症とは反対に精神症状としては精神機能亢進の方向への変化が一般的であり、不安、焦燥、刺激過敏性、気分不安、易疲労感などが見られます。抑うつ状態と躁状態のどちらも呈し、時に幻覚・妄想を呈することもあります。バセドウ病治療の第一選択は抗甲状腺薬による薬物療法であり、薬物療法によって寛解しない場合は甲状腺亜全摘術や放射線アイソトープの治療を行います。

参考文献:精神科治療学 Vol34 No7 Jul 2019 p729
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